本研究プロジェクトの概要(Overview)

本研究プロジェクトの目的

愛する人との死別は誰もが経験し得るものです。時間の経過とともに私たちの多くは死別に折り合いをつけ,現在の日常に適応していきます。しかしながら,長期にわたって心身の健康上の問題を抱える方もいます。この違いはどういったところにあるのでしょうか。
本研究プロジェクトでは,死別への適応について心理学的に明らかにすることを目的とし研究を進めています。中でも,“故人との継続する絆”という概念に着目して検討を重ねています。

故人との継続する絆とは

愛する者と死別した際,故人とのつながりを何らかの形で保ち続けることが多く,それが死別への適応において大切であるという考えが近年出され,故人との継続する絆という概念として広く支持されるようになっています。
そもそもこの概念は,日本人の宗教行動(お墓参りやお盆などの慣習,仏壇,位牌,遺影など)がモデルになっているといわれています。
故人との継続する絆に関する実証研究はまだ始まったばかりであり,どういった絆が適応を促進するのか,絆はどのように変容していくのか,宗教や文化などの要因がどのように絆の継続に影響するのかなど,検討が進められています。我々の研究プロジェクトにおいては,中でも社会文化的要因と,記憶のはたらきに着目し,研究に取り組んでいます。

本研究プロジェクトの現在の研究内容

本研究プロジェクトに関わる科研費研究課題一覧

  • 2018-2021年度(予定)

研究課題: 死別への適応における記憶の機能: 故人との絆の変容プロセスの探究
基盤研究(C),研究代表者: 田上 恭子

  • 2017-2020年度(予定)

研究課題: 「継続する絆」の概念分析と関連要因の実証的検討: 新たな悲嘆理論の構築に向けて
基盤研究(C),研究代表者: 山中 亮

  • 2014-2017年度

研究課題: 「継続する絆」における自伝的記憶の機能
基盤研究(C),研究代表者: 田上 恭子
研究成果概要 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-26380935/26380935seika.pdf

  • 2011-2013年度

故人との絆に地域風土が及ぼす影響: 地域に根ざしたグリーフカウンセリングに向けて
挑戦的萌芽研究,研究代表者: 山中 亮
研究成果概要 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-23653207/23653207seika.pdf